21年目もよろしくお願いします

よしざわ窯は21年目を迎えました。
もともと父親がろくろ職人で母親が数ヶ月に一度窯を焚くのんびりした窯元だったのですが、ある日妻と二人で「ネットショップで販売しよう」と半ば強引に両親を巻き込んだのがそもそものはじまりでした。
私も妻も器づくりはおろかネットショップの仕組みのことも何もわからないままのスタートで、器づくりのことは知り合いの作家さんたちに、ネットショップはその分野に詳しい学生時代の先輩が力になってくれてよちよちとおぼつかない足取りではじめたのでした。
その後、同級生や弟、親戚や近くの作家など少しずつメンバーが集まり、手分けして仕事をするようになりましたが、基本的に素人もしくは作家としてはまだ経験の浅いメンバーばかりだったので、とにかくそれぞれができることを持ち寄って作れる器を毎日一生懸命作っていました。
ネットショップのほうはといえばこれまたその道に明るい人などおらず、ひとりまたひとりと器好きが集まりホームページをどうにか更新していきました。
その当時、スタートしたばかりのよしざわ窯をお客さん側から見ていた現メンバーのオオタケさんが、
「器づくりもショップの運営もおぼつかない様子がなんとなく伝わってきてた。でもその中で生まれてくる器がよかった。」と話してくれたのですが、この素人集団がつくる器とお店を陰で応援し見守り続けてくれたお客さんも、もしかしたら手づくりの器と向き合うことには不慣れで、ハラハラしながら私たちの様子を眺めつつ、届いた器を試行錯誤しながら使い続けてくれていたのかななどと勝手に想像しています。
ネットのこちら側と向こう側のほどよい距離で、私たちはお客さんを想像しながら器をつくり、感じたことを書き記した文章を添えてお客さんに届けそんなこちら側の思いをどこかで感じながらショップを利用し器を使ってくださる、この素敵な関係に助けられた20年でした。

もはや素人集団とは言えない年数を重ねて、”成人式”を終えた大人の集団と名乗らなければならないところですが、今日も私たちが向き合っているのは目を離すとすぐに割れたりゆがんだりヒビがはいってしまうとても繊細で不完全なもので、20年前のあの頃と変わらないおぼつかなさで日々奮闘しています。
一方で私たちのつくった器を使ってくださるお客さんも家事や育児や仕事といった毎日のめまぐるしさの中でいろんなままならなさと向き合いながら奮闘されているのだと思います。
日々の生活も器づくりも”完全”とはほど遠い不完全なことの連続で、だからこそより良いものにするために想像したり工夫したりする、もしかすると私たちのつくる器たちが毎日の暮らしを楽しくする一助となって、またそのことが私たちの器づくりの励みになる、これからもそんな関係であれたらいいなと勝手に思っています。
21年目もどうぞよろしくお願いいたします。

10年くらい前につくっていた器たち

吉沢泰久

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