作業場から 2026年1月17日

こんにちは。生活陶器「on the table」です。

「作業場から」
器づくりのあれこれ(愚痴も含めて。。。)を仕事場の様子などもまじえてお伝えしてければいいなーと思っています。

1月17日(土)は、ヨシザワヤスヒサが綴っています。(2026年からは毎週土曜日にお届けしているメルマガのうち、 「作業場から」 を、配信後にこちらに掲載しています)

どうぞよろしくお願いします。


器づくりをはじめて何年か経った頃、手狭になってきた作業場をなじみの工務店さんと相談しながらあれこれ考えた挙句に太い鉄骨を入れて無理やり広げてみたり、作業場どうしを強引にくっつけてみたり、それでも足りないので隣のばあちゃんの畑に作業場を建てて、さらに田んぼの向こうの日当たりのいい場所を見つけて新しい作業場をつくり、その後知り合いの同業者に格安で場所を使わせてもらったり、譲ってもらったりと思い返してみれば仕事場さがしの20年でもありました。

よしざわ窯には現在4ヶ所の仕事場があって、製作やネットショップ運営、検品など仕事場ごとにそれぞれの役割があります。
仕事場というのは文字通り「仕事をするための場所」ですが、私たちの仕事場はどんな器をつくるか考える場所であり、器づくりの場所であり、作った器をどう販売していくか考える場所、そしてお客さんに見てもらう場所でもあります。「無理やり」とか「強引に」とか過去には”いろいろ”ありましたが、仕事場はすごく大事な場所です。

メンバーが毎日集って繰り返される他愛もない会話や対話からいろんな工夫が生まれ、それらがやがてささやかだけれど自分たちの技術と呼べるくらいのものに育って、メンバーどうしの信頼関係とか、ひとりひとりに自尊心なども芽生えて、人も技術も関係もいろいろな大事なものが育つ「場」です。

話は少しそれますが「山ねずみロッキーチャック」というアニメが大好きで、大人になってから動画サイトで何度も観てます(笑)
(*舞台は緑が森と呼ばれる森。主人公の山ねずみ・ロッキーチャックが森に暮らす仲間たちと出会い、助け合い、失敗しながら成長していく物語。)
誰にとっても公平な自然の厳しさやルールのもと、それぞれに役割とか個性があって、競い合ったり助け合ったりしながら機嫌よく生活していく。
メルヘンチックかもしれませんが、この緑が森みたいな仕事場って理想的だなーと思っています。

それでは私たちの緑が森、仕事場をご紹介していきます。
まずは「本作業場」と呼んでいる仕事場です。

1200度の高温で焼き上げるガス窯が並んでいます。鉄骨を入れて2つの作業場をつなぎ合わせた「継ぎはぎ」の窯場です。
ここでは釉掛けなどの窯作業のほか、仕上げや泥漿による器づくり、着彩(器への色付け)、新しい器のデザインとその原型づくりなどいろいろな種類の作業が行われているのですが、今回は新しい商品の型「原型」づくりについて紹介させてください。

担当しているのは4名の女性スタッフ。

白い花の咲くカップ/マグとお揃いのお皿を製作中。
まずはじめに商品のアイデアのイメージを何点かのイラストに描き起こして、何点かのイラストからイメージに合ったものを選び、細かい部分を修正しながら徐々に器のサイズや形と重ね合わせて最後に図面にしていきます。
・実際に盛り付けたときの余白
・手に取ったときの重さや厚み
・焼成後に起こりうる歪みや縮み

そうした“使われる場面”を頭に浮かべながら、イラストと図面を行き来していきます。
平面の線を、立体として無理のない形に落とし込む作業は、想像以上に地味で時間のかかる工程です。
図面が固まっても、そこで終わりではありません。
粘土で原型を起こしてみると、紙の上では気づかなかった違和感が現れることもしばしば。
「もう少し縁を立たせた方がいい」「深さが3ミリ違うだけで印象が変わる」
そんな微調整を何度も繰り返し、ようやく石膏原型へと進みます。
こうして生まれる原型には、描く力・考える力・想像する力、そして何より、たくさんの器を作ってきた経験が静かに積み重なっています。
ちなみに「森の動物シリーズの器」は「ロッキーチャック」に描かれていた「緑が森」の世界観がベースになっているような気がします。

1階ではよしざわ窯の”本業”たたらづくりを、2階では焼き上がった器の撮影とホームページ運営作業が行われているのが2つめの「亀田作業場」。
「田んぼの向こうの日当たりのいい場所に建てた作業場」です。

粘土をたたいてのばしてから板状にスライスして、一枚ずつ石膏型に押しあてて、型の形と模様を映すように成形するのがたたらづくり。
重さ10キロの粘土のかたまりを作業台に何度もたたきつけて形を整えていくたたらづくりは「プロレスをやっているような気分」と担当スタッフの一人は言います。

朝一番は粘土との格闘。粘土のかたまりを石膏型の形に合わせてたたいてのばして。
器づくりは正真正銘の肉体労働ですが、特にたたらづくりは重労働で、重さ10キロの粘土の形を整えて板状に切り、石膏型に押しあてていく一連の作業は「ものづくりが好きだから」だけではなかなか続けていくことが難しいこの仕事の厳しさでもあります。
「省力化」とか「機械化」とか、もっとたくさん、楽に、きれいに作るための代わりの方法もあるのですが、どんな形でも作れてしまう(少し言い過ぎかも)たたらづくりの自由さに魅力を感じて20年間ずっと続けてきたのでこれからも「たたらづくり」を大事にしていって”ささやかだけれど自分たちの技術”と呼べるものに育てていきたいと思っています。

重いものを持ち上げたり運んだり、単調な作業をひたすら繰り返したり、描く力や考える力、想像する力がシビアに試されたり、そしてすべての仕事の結果は売上とか利益といった数字で評価されるわけだから、仕事としての「ものづくり」はおおらかとは言えません。
ただ、厳しい自然がそこに暮らす動物をたくましく育てるように、厳しさがあるから毎日真剣だし、仕事仲間で話し合ったり相談したりしながら工夫を重ねてやがて技術や信頼関係が育つ。
これからもいろいろ生まれたり育ったりする仕事場であったらいいなと思うのです。

ぜひまたいろいろな作業風景や仕事場のことについて紹介させてください。


最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
それでは、また。


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