ミニギャラリー

両親がつくった器を飾っておくミニギャラリーがほしいと母親から聞いていて、当時サラリーマンだった自分たちは土日を利用して手づくりのギャラリースペースを作ったのです。もう20年近く前の話です。
親戚のおじさんに重たい大谷石を床に敷き詰めてもらい、ホームセンターで買ってきた板をそれらしく打ち付けて壁をつくり、仕上げは骨董屋で買い求めた古くて立派なつくりの階段。ギャラリーの真ん中にどーんと置いて器を並べました。入口の扉が素人感いっぱいでなんともカッコ悪かったのが特に印象に残っています(笑)嫁と弟、弟嫁、母親、父親と面白半分につくったギャラリーでした。作業小屋の一角にできたお店にもちろんお客さんなど来るはずもありません。そもそも商品に値札すら貼ってありませんでした。それはただの「お店ごっこ」だったのかもしれません。でもあの時あんなに夢中になれたのは日曜大工が好きだったということもあるけれど、この遊びには続きがあるような気がしていたんだと今思います。その後、並べた器は一体どれくらいの在庫金額になるのか買ったばかりのパソコンで表をつくって計算してみたり、器をカテゴリーごとに分けて在庫管理の真似ごとをしてみたり。そうそう、カメラマンの友人にお願いして器の写真を撮ってもらい、誰のためでもないフォトブックも作りました。
こうして今もその「お店ごっこ」は続いています。
母親の小さな夢だったギャラリーはあっと言う間に取り壊され、やかましいガス窯が陣取っていて、結構な値段だったディスプレイ用の階段は作業場の外階段として本来の階段業務に戻っています。最近は少々現実的であり過ぎて「面白半分のごっこ遊び」から遠ざかってしまっているかもしれません。あの頃みたいにもっともっと面白がらないと。

担当:ヨシザワヤスヒサ

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