仮想のお店

インターネットというどこまでも続く世界にいくつもの仮想の街ができて、その隅っこのほうにお店をつくりました。
そして、益子という現実の田舎町にある作業場で毎日器をつくってはせっせと仮想のお店に運び、なるべくきれいに並べてお客さんを待つ、とそんなことを繰り返して十数年になります。

仮想の街が本当にあるのかどうかは、理解できる範囲のことを念入りに並べたところで実は今でもよく分からないのだけれど「そこにある」そして「お客さんがそこにいる」ということを本気で信じることにして待っています。
きっとお客さんのほうも仮想の街にあるというそのお店が本当にそこにあるとちゃんと理解できているわけではなくて、あると信じて「えい!」と買い物をしてみるのだと思います。
(これまでに何度か「よしざわ窯は本当にあるのですか?」とお客さんからお問い合わせをいただいたことがあります。「はい本当にあります。」)

ネット上のお店”生活陶器「onthetable」”はいわば私たちとお客さんの「そこにあることにしよう」もしくは「そこにあったらいいな」という暗黙の同意のうえにできている想像上のお店で、目に見えない両者をむすんでいるのは「想像力」と「信用」です。仮想の世界、街のことを十分に理解しているわけではないけれど私たちがまず本気で信じてあれこれ想像しながらお客さんを待ち、つながることができたお客さんの現実の食卓に器という信用の欠片(かけら)を届けつづけています。

少しずつ集められた信用の欠片がやがてコーディネートという陽気な形で食卓を楽しませる「信用」という大きなかたまりになったらいいなと思っています。

本年も仮想の街でたくさんのお客さんとお会いできるのを楽しみに器づくりに励んでいきます。

担当:ヨシザワヤスヒサ

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