「主張のある白」
本当はシンプルで落ち着いていて特に主張せず、それでいてきれいでどんな料理もやさしく引き立てることができる白はそんな大人な色であるべきなのかもしれません。きれいな形はそのまま美しく、かわいい形や模様にはかわいらしさにやさしさを添えるように。よしざわ窯の「ホワイト」にはそういう役割を期待している気がします。
今度の白には少しだけ「主張」とか「頑固さ」みたいなざらざらしたものがあります。製作者は「かっこいい」と満足しているのですが、どこかおやじっぽさが感じられるかもしれません。ご注意を。
釉薬のベースはホワイトと同じで、微量のスパイス材を添加して高い温度で焼成しています。そうすると全体的にやや暗めの色あいになり、素地のラインがグレーまじりの茶色に透けて見えたり釉薬の濃い部分は溶け固まって細かい小穴がポツポツ、釉薬中の鉄分はそばかすのように表出してきて…そう主張しはじめるのです。
また気難しさもなかなかのもので、グレーが強く発色したくさんの小穴が見られてややハードで渋めの風合いを見せたかと思えば何事もなかったかのようにやさしくてソフトな一面ものぞかせたり。
すこしだけ「主張のある白」ですが少々面倒くさいおやじ気質な釉薬です。。。
この新しい釉薬は「白釉」と名付けました。
そんなわけで「きれい」「均質な色合い」が好みという方にはおすすめできません。少し渋めで釉の複雑な表情を楽しんでいただける方におすすめです。
製作者より
追記:
写真は、色の完成までに使用したたくさんの陶器片と、新しい釉薬「白釉」を纏った「花豆鉢」。この「白釉 花豆鉢」を、まず
11月13日(月)に販売致します。癖のある釉薬ですが、気に入ってくださる方がいらっしゃると嬉しいです。